趣味 | スティルマイン

趣味

趣味が欲しい、そう思った私は「彫刻家になろう、でも作品は売らないでおこう。所詮趣味なんだから欲しいっていうひとが居たら格安で譲ればいいし、タダでも良いな、ボクの作品を好きだと思ってくれること自体がありがたいよな」と、デパートでピカピカしてる彫刻刀と、木材をひとつ買った。この木の中には、これから私が生み出す生命が宿っており、それを取り出すのが私の仕事なのだと思った。


家に帰り、木材に彫刻刀を刺そうとするも、刃が通らなかった。驚き、他の彫刻刀で削ろうとするも木はもの凄く硬く、「カリカリ」としかその周りを削れなかった。


以上が彫刻家への夢を諦めた理由だ。あの木のせいで、無趣味が続いているのだと思う。今年は趣味ができればと思う。