相対性理論 | スティルマイン

相対性理論

最近の日曜日、私はおとなしい。月曜日を誤魔化そうと軽く飲みに出る夜もあるが、日中の外出はせいぜい近所のスーパー。「あ、ニラが安い。ハッピー。」で済んでしまう休日だ。


――天気の良い休日、ニラが安くてハッピー。これは、アンハッピーではないか。



自身のアンハッピー性を自覚した私は、久方ぶりに街へ繰り出すことにした。街に特段用事は無い。

「まだ行けんじゃねえか」という程度のお洒落をし、電車に乗る。街に着き、ギャラリーや懐かしい店、書店を巡り、カフェでビールを飲みながら一服。購入した写真集を眺める。

煙草をくゆらしながら、ふと、ガラスに映る自分と目が合う。――まだ行けんじゃねえか。


その安堵を抱き、電車に乗り、自宅の最寄り駅へ到着。駅前のスーパーに寄るもニラを買うのを忘れる(ニラが好きです)。
家に到着。やきそばを作る。ニラは入っていないが、美味い。


写真集はその後一度も開いていない。来週の日曜日はニラを買いに近所のスーパーに行くのだと思う。