ばあちゃんワズマイン3 | スティルマイン

ばあちゃんワズマイン3

私が小学校高学年の頃、ばあちゃんが我が家に滞在していたことがある。数ヶ月は居た。その夏の私はばあちゃんを心の友のように連れ回した。確か、連れ回したように思う。


近所の公園に行った。そこには大き目の池があり、おたまじゃくしがたくさん居た。きっと収穫の時期だった、私とばあちゃんはおたまじゃくしを採りまくった。小さい水槽の中でうじゃうじゃするおたまじゃくしを二人で「可愛いね」と眺めた。今の私なら吐けると思う。
おたまじゃくしたちはカエルになる前に全滅した。多分、ばあちゃんが大雑把に餌を与え過ぎた。

敏捷なばあちゃんは児童館のボール遊びでその存在が光った。私はばあちゃんを恥ずかしく思いながら自慢もしたい微妙な心境だった。子供らはばあちゃんのことを訝しげに見ていたが、ドッチボールでテクい外野として活躍するばあちゃんは受け入れられ、私はこそばゆかった。ばあちゃんは「子供の頃ボール遊びで一番だった」と言った。ばあちゃんの子供の頃にボールがあったのか、と私は驚いた。

ばあちゃんは学校の課題で描いた私の絵を欲しがった。我ながら「どうしちゃったの」という絵だったが、不思議とばあちゃんは固執した。その絵は長い間ばあちゃんの部屋に飾られることになり、帰省の度に話題に上った。

二人でしょっちゅう近所のスーパーに行った。小さいペットコーナーで売られているカメを並んで眺めた。
私は常日頃からカメを飼いたかったのだが、母親は許さなかった。買ってくれるであろうばあちゃんにせがむのはズルイと思い、私は我慢した。食材を買いにスーパーに行く度、ばあちゃんと二人で何度もカメを訪れた。


その頃私の母親は入院しており、「ばあちゃんがお母さんになるのだろうか」とさえ思っていた。ばあちゃんに懐くことに罪悪感を感じつつ、子供なりに「これが現実なのだ」といった感覚でばあちゃんとの生活を送った。