age | スティルマイン

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早く家路についた夕方、「お前何歳なんだよ!! 聞いてんのかよこのやろう!」と小学生低学年のチビ二人が取っ組み合っていた。子供とは言え取っ組み合いの喧嘩は久しぶりに遭遇したもので、思わず見とれてしまった。「クローズ・ゼロ」かと思った。しかし「何歳なんだよ!!」て。
二人ともテンションが上がり過ぎ、遠くからだとちょっと何言ってるのか分からなくなって来たので「コレコレ、どうかひとつ」と止めに入ろうと足を向けたら二人とも猛スピードで走り出し、追いつけない私はポカンとしたまま帰宅した。


とうに悲しみが汚れつちまっている私は「誕生日おめでとう!」と言われる度に「いやーもう目出度いトシじゃないよ(笑)」と返すお決まりのやり取りの不毛さに疲れ果てている。歳を重ねることそれすなわち成長ではなく老化であると覚悟を決めている私には今日も風さへ吹きすぎるのである。
草食系男子が抱えるこの種の切なさを理解していただこうと私の気持ちを女性に訴えても「そんなことを言っているからモテないんだよ」と説教され、小雪のかかつて縮こまっているのだ。良く分からないが、そんな感じだ。


小学生当時は1歳の違いがそらもうえらい大事だったのだろうなあと今になって思い出す。あのチビたちと同じ歳の頃、私は1歳上のチンピラ小学生にボコボコにされた経験があるのだ。1歳の違いは、そらもう圧倒的だった。
リンチ当日、私はいつもどおり可愛い女子二人をはべらし、公園で仲良く遊んでいた(人生で一番のモテ期だったことは疑いようがない、当時は肉食系だったのかもしれない)。その女子二人の眼前で、「しょっちゅう女子と一緒にいる」という理由のみで私は泣かされたのだ。理不尽な暴力を受け、「モテ期なのに女子の前で泣かされる」というかつてない辱めに遭い、私の靴とプライドはズタズタにされた。今の私だったらきっと勝てると思う。

「聞いてんのかよこのやろう!」――こんな熱さもなくなり、なすところもなく日が暮れる私はせいぜい「お前何歳なんだよ!!」と年下のクセに私に生意気なクチをたたく同僚に言ってみようと思う。今度は年下に泣かされると思う。私はやはり、いたいたしくも怖気づくのだと思う。