ダンディといっしょ | スティルマイン

ダンディといっしょ

飛行機に乗った。わーい。飛行機が好きです。

盛り上がったテンションを一人ひっそりと維持したまま羽田に到着、電車内でぐったりしていると隣に座ったダンディな二人組が大げさに語り合い始めた。

「おい、シルバーシートって知ってるか?若いやつが座るところじゃなかったよな」
「若いやつらは自己中だから知らねえんだろ。ゆとり教育だよ。イマジネーション不足だよ」
「そうだなダメよだなーシルバーシートに若いやつが座る時代だもんなー」

向かいのシルバーシートには若いカップルが座っているのだ。ダンディたちは二人に聞こえるように話したのだろうし、二人はそれを聞いて大人しくなり俯いてしまった。辱められてるのだ。そら白ける。ダンディたちはニヤニヤ語り続ける。


――なるほど・・・しかしだダンディ。
我々の向かいに座るレディのお腹には赤ちゃんがいるかもしれんぞ。あるいは青年は足を引きずっていないかね。我々の未知なる病気と格闘中かもしれぬ。そっちの君は先ほど彼らを「イマジネーションが足りん」と言ったがそれはまさしく君らに当てはまるのではないかね。


しばらくするとカップルは足取り軽やかに電車を降りていった。
ダンディたちは何時の間にか他の会話で盛り上がっていた。

語らい続ける私とダンディ二人組が空想内に取り残された。


人間はイマジネーションに苦しめられていく生き物なのだろう。
ダンディたちと手を繋ぎ、潤い豊かなオアシスがある方向へと駆けようと思う。